オーストラリア

オーストラリアでチアコーチしてわかった大学生チアリーダーの実態

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「パーティ疲れが残っているので練習を休みまーす。」あきれるほど怠惰なオーストラリアの大学生……その背景にあるものとは?

こんにちは。2017年5月から、競技チアリーディングの選手として現地の強豪チームに所属するため、オーストラリア・メルボルンに在住している笠原園花です。日本での忙しい生活から離れて1年半。ここでのゆったりと流れる生活にも慣れ始めた今日この頃です。

さて、2019年3月より、オーストラリア・カトリック大学のチアリーディング部のコーチを引き受けることになりました。渡豪以来「なぜオーストラリア人たちはこんなに呑気なのだろう」という疑問がありましたが、コーチ活動を通してその答えが見つかり始めました

チアリーディング大学チーム 結成

任されたのは、21人のチアリーディング初心者が集まる大学チーム。スポーツ経験すらない人もちらほら。「この国の大学生たちは怠惰だから、コーチするのは大変だよ〜」と周囲から言われていたため覚悟はしていましたが、想像をはるかに超える実態でした。

チーム結成当初

デビュー戦は6月30日に開催されたWINTER FEST(ウィンターフェスト)と呼ばれるメルボルンの地区大会。出場までは4ヶ月。練習は週2回のみのため、チーム 練習ができるのは30回。チアを始めたばかりの学生たちを大会出場レベルまで持っていかなければという焦りと不安でいっぱいでした。

私の気持ちとは裏腹に、ある意味すごい行動をとる彼女たちを指導をした怒涛の4ヶ月間は、私だけが日本の忙しく流れる時空間にいるような感覚でした。

生徒たちとの乖離

日本での経験もあったため、学生をコーチをすることに関しては慣れていたつもりでした。しかし、日本のそれとは事情がまるで違いました。

練習を休む理由が面白い

日本で部活の練習を休むと言ったら大惨事。病院は部活がオフの時に行く、ゴールデンウィークやお盆の長期休暇こそ毎日練習、家族旅行で休むのなんて以ての外。「熱があっても練習にとりあえず来て」と言われたこともありました。しかし、オーストラリア育ちの大学生たちは違います。

誕生日でママとブレックファーストをする約束があるから休む。
2日前の自分の誕生日パーティの疲れがまだ残ってるから休む。
朝起きたら2回くらい吐いたから休む。友人と旅行にいくから休む。
練習に行く途中の電車で気絶して頭を打ったから休む。
お母さんを空港に送らなきゃいけないから休む……。

誕生日だから休むなんて聞いたことないし、お母さんも自力で空港に行ってほしい。吐いたからという理由がこの4ヶ月だけで5回以上あったが、そんなにオーストラリア人は日頃から吐くのか?と、日本育ちの私には理解ができないことばかり。もはや、「今日はどんな面白い理由で休んでくるかな〜」と楽しみにしていた時期すらありました(笑)

練習中に数々の仰天行動が起こる

練習態度にも驚きの連続。寝転がったり、トイレにこもって泣いていたり、練習中にスマホを出しインスタグラム用の動画を撮影し始めたり(練習後に彼女たちのインスタグラムを見るとしっかりと練習中の動画が投稿されている……)。

インスタグラムが大好き

そんな仰天行動の数々にしびれを切らし、「他のチームはもっと頑張っている。わたし達には限られた時間しかない。そんな態度だったらもう大会出るのやめよう。」ときつく叱ったこともありました。

彼女たちのモチベーションとは裏腹に、どんどん募る焦り。時間がないから突き進むしかないと、生徒たちの気持ちを考えることよりも大会演技を完成させることに集中していました。そして、生徒から届いた一通のメッセージ。「練習がハードすぎる。なぜこんなに練習しなければいけないの。」

ハッと我に帰ったのを覚えています。「なぜ練習しなければいけないのか。」当たり前のように理解しているものだと思っていた……。ここで、私と生徒たちとの間で気持ちの乖離が発生していることがわかりました。このままでは大会で大失敗する。そこで、短い練習時間を削り、「なぜ練習しなければいけないのか」について話し合うミーティングを開催しました。

生徒たちの本当の心

ミーティング初っ端の私の言い分はこうでした。「あなたたちだけが辛いんじゃない。他の大学チームの選手たちはもっと頑張っている。」声を大にして、あなたたちの努力は”他と比べて”まだまだだということを主張しました。これが私が幼少期から教わってきたことだったからです。

そんなミーティングの最中、1人の生徒にこう質問されました。「コーチ、正直に言って。私たちってコーチからみてどう思う?手のつけようのないくらい下手?ゴミレベル?」

この瞬間、なるほどと思いました。私は彼女たちのことをゴミレベルと思ったことはない。むしろたった数ヶ月前に競技を始めたということを考慮すればとても成長した。しかし、これまで成長した部分を褒めることなく、できていない部分に焦点を当てて指導してしまっていた。「あなたたちは素晴らしい。チアリーディングを始めた時にくらべたら驚くべきスピードで出来るようになったことがたくさんある。」とその時初めて本当の私の気持ちを生徒たちに伝えました。15人全員の顔がパッと明るくなったことを今でも忘れません。

ミーティングを終えてから変わり始めた生徒たち

学校の成績表が相対評価だったりし、他の子達と常に比較されてしまう日本とは異なり、オーストラリアでは、自分がどれだけ成長したかが重視されていて、少しでもできることが増えると褒めてもらえる環境。

そんな環境で育った子達に向かって、「他の選手はあなたたちより頑張ってるんだから、もっと頑張りなさい」というのはなんてナンセンスなことだったのでしょう。

「褒め作戦」で臨んだデビュー戦

ミーティングから大会までの2週間、少しでも成長したと思ったら「いいじゃん!よく出来てるよ!」と声に出して褒めることを意識しました。(日本だったら、「そんなんじゃまだまだ!」と言っているだろうけど……。)

そして大会当日の演技直前。「あなたたちは、たった4ヶ月で驚くべき成長を遂げた。自信もっていってらっしゃい。」と褒め言葉で大会の舞台へ見送りました。

本番直前のリハーサル

そして、見事にミスのない演技を達成し、部門3位! もちろん、「もっとうまく出来たな」という部分はありましたが、「チアリーディングを始めた頃のあなたたちと比べたら、見違えるほど上達した。」という褒め言葉でその日を終えました。

他人との比較ではなく、自分との比較。これこそがオーストラリアで大事な視点なのだと学びました

部門3位を獲得!

日本とオーストラリア、どちらの方がいいということはないが、他人と比べられることの多い日本での生活から離れ、絶対評価されるマイペースなオーストラリアでの生活もいいかもしれないです。

普通の会社員がチア世界大会メダリストのチームで練習するようになったきっかけ

笠原園花(編集長)

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現在オーストラリア・メルボルンでチアリーディングの選手兼コーチとしてSOUTHERN CROSS CHEERに所属する傍ら、海外チア情報を発信中の笠原園花です。皆さんが知りたい情報をどんどんお届けします!

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