チアリーディングの大会ルール〜JCAとUSAの違いについて〜

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チアリーディングの大会ルールといっても、協会によって大きく変わるのが特徴です。日本には大きくわけて3つの協会があり、それぞれが独自のチアリーディングの大会ルールを採用しています。今回はその違いについてわかりやすく解説します。

はじめに

日本のチア界には、大きく分けて3つの協会があります。

公益社団法人日本チアリーディング協会(JCA)
ユナイテッドスピリットアソシエーションジャパン(USAジャパン)
一般社団法人日本スポーツチア&ダンス連盟(チアジャパン)

現状、日本では多くの高校や大学の部活動がJCAに所属しており、クラブチームはUSAジャパンやチアジャパンの大会に出場している印象があります。

組織の大きさや会員数ではJCAが日本では一番大きいと思います。私も高校・大学時代はJCA所属のチームに在籍していました。

しかし、世界的にみると、JCAの存在が大きくないのが実情です。

チアリーディングの世界大会を主催する「国際チアリーディング連合(ICU)」や「インターナショナルオールスター連盟(IASF)」の傘下にあるのが、チアジャパンやUSAジャパンだからです。

そして、チアジャパンはICUが主催する国家代表世界大会への選手派遣を行い、USAジャパンは、IASFが主催するクラブチーム世界大会への選手派遣を行っています

ルールの違いとは

ルールに関してですが、親母体であるICUとIASFは基本的には同じルールブックを採用しています。そのため、チアジャパンとUSAジャパンも似たようなルールで競技が行われます。点数の付け方やジャッジの方法は異なります。

一方、JCAは日本独自のルールを採用しているため、チアジャパンやUSAジャパンとは大きく異なります。その違いについて私なりの見解で解説します。

出場可能人数の違い

まず、一つ目の違いが、「出場可能人数」です。


JCAでは、1チーム最大16人での演技ですが、チアジャパンやUSAジャパンでは最大24人まで出場可能です。

そのため、必然的にスタンツの数が増え、演技にボリューム感が出ます。ピラミッドも、24人の方ができる技のバリエーションが増えるので見応えがあります。

本場アメリカでは部門によっては32人まで出場可能だったりもしますよ。

大会演技マットの広さの違い

そして、二つ目に大きく異なるのが、大会用のマットの大きさです。


JCAでは、チア専用のマットである「青マット」が7本使われ、12メートル四方の正方形となりますが、チアジャパンやUSAジャパンでは、青マットは9本使われ、約12メートル×約15メートルの横長の長方形となります。

出場人数が多いだけあって、大会用マットの広さも青マット2本分広くなります。

タンブリングを斜めに走る時、助走を多くとってもラインオーバーをしにくいのでタンブラーからしたら嬉しい広さです。

部門の分け方の違い

三つ目の大きな違いが、部門の分け方の違いです。


JCAでは、中学・高校・大学・社会人チームと年代別のみで部門が分かれている反面、チアジャパンやUSAジャパンでは、年代別に加え、レベル1~7のレベルでも部門が分かれています

JCAでよく行われる「3層のピラミッド」や「バックフリップなどの縦回転バスケットトス技」はレベル7部門でしか許されていません

昔、海外のチア動画を見て、「あれ? 3層ピラミッドやらないのかな?」と思っていたのですが、それはレベル6以下の部門での演技だったからなのです。

アメリカをはじめとする海外では日本と異なり、3層ピラミッドやバックフリップがないレベル6以下が花型です。

3層ピラミッドがないからといって迫力がないわけではありません。3層ピラミッドがない分、タンブリングやグループスタンツのレベルがとても高いため、すごい迫力なのです。

3層ピラミッドがなくても迫力満点

演技構成要素の違い

最後に、演技に必ず入れなければいけない要素がそもそも異なります。

アームモーション

JCAに必須の「アームモーション」はチアジャパンやUSAジャパンでは実施する必要がありません。

コール

JCAではどの部門でも、音楽を使用せずに演技を行う「コール」が必要ですが、チアジャパンやUSAジャパンでは2分半すべて音楽ありの演技をします。

チアジャパンのルールでは、2分半の演技に加え30秒のコール部分がありますが、コールでの技の難易度は問われず、「いかに観客を巻き込めるような魅せ方ができるか」が重要となる点にも違いが見られます。

まとめ

いかがでしたか? 日本の3層ピラミッドは世界からも定評があり、すごい! と言われています。

JCAでは部門が年代別で分かれており、高校生になると3層ピラミッドがルール上できるようになります。そのため、3層ピラミッドの技術が高いのかもしれません。

一方で、レベル別で分かれているチアジャパンやUSAジャパンでは、自分あったレベルで練習を積むことができるので、基礎からしっかりと丁寧にチアリーディングを学ぶことができるというメリットがあります。